陸上男子やり投げ(上肢障害F46)に初出場した高橋峻也(26)=トヨタ自動車=にとって、パリ・パラリンピックは人生で2度目の大舞台だった。
1度目は、2016年の第98回全国高校野球選手権大会。阪神甲子園球場で4万6千人の観客から拍手喝采を浴びた。
高橋は3歳の時に患った脊髄(せきずい)炎の影響で右ひじを動かすことができない。それでも健常者と一緒に、小学2年から野球に打ち込んだ。
捕球直後に左手のグラブを右手に持ち替え、左手で送球する「グラブスイッチ」を1年間練習し、3年から少年野球チームに入った。中学でも野球を続け、高校は地元鳥取の強豪・境高に進んだ。
高校3年の夏、背番号10の外野手としてベンチ入り。チームは9年ぶりに甲子園出場を果たした。
初戦は、2回戦の明徳義塾高(高知)との試合。出場はできなかったが、試合前に右翼でノックを受けた。いつものようにグラブスイッチで返球すると、拍手や歓声があがり観客が沸いた。「楽しかった。一番大きな経験になった」
念願だった甲子園の土を踏め…