理化学研究所やNTTなどのチームが完成させた、新型の光量子コンピューター=理研提供

 理化学研究所やNTTなどの研究チームは8日、光量子コンピューターの開発に成功したと発表した。光を使う方式で幅広い計算に対応できる実機は世界初という。人工知能(AI)の研究に活用できるのが強みで、外部からも遠隔で使えるようにする。

 量子コンピューターはミクロの世界で働く「量子力学」を利用した次世代の計算機だ。普及させるには「量子ビット」という部品が1台あたり100万個ほど必要で、機器の小型化が課題となる。理研の国産初号機は64個。世界最多とされる米IBM製も約1千個で、実用化の壁と考えられている。いずれも「超伝導」という方式だ。

 これに対し理研のチームは、光を量子ビットのように扱う方式で開発した。機器を巨大化せずにビット数を大幅に増やせるのが強みという。埼玉県和光市にある理研の施設に完成させた実機は長さ4.2メートル、幅1.5メートル。量子状態にした光の粒を、時間差をつけて次々に伝送することで、多くの情報を重ね合わせて一度に大量の計算をする「量子計算」を実現する独自の方式だ。約100個の値を同時に計算でき、超伝導方式などの量子ビット1千個分に相当する計算規模だという。

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