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 公式確認から69年を迎えた水俣病。患者の高齢化が進み、公害の歴史を実体験で語れる人が限られてくる中、遺構や写真、当時の資料といった「モノ」の重要性が増している。保管を担う民間団体は資金や人材の確保が悩みだが、公的な支援は十分ではない。

 熊本県水俣市の水路の前に4月下旬、木村敬知事や環境省幹部、胎児性水俣病患者ら約50人が集まった。水路にある百間(ひゃっけん)排水口の四つの樋門(ひもん)の新調を祝った。

写真・図版
百間排水口の樋門の新調を祝う式典であいさつする市民団体代表の加藤タケ子さん(左)。木村敬・熊本県知事(右)も出席した=2025年4月20日、熊本県水俣市、今村建二撮影

 加害企業チッソが有機水銀の含まれた工場廃水を海に垂れ流した現場で、水俣病「原点の地」とされる。

 樋門は老朽化で過去に何度か…

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