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聖隷クリストファー―三重 九回裏、三重の代打・森本がサヨナラ適時打を放つ=2025年5月24日、ダイム伊勢、辻健治撮影
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(24日、第72回春季東海地区高校野球大会1回戦 三重3―2聖隷クリストファー)

 九回裏、2死二塁で代打を告げられた。三重の森本叶多(かなた)選手(3年)にとって公式戦初打席。速球を振り抜くと、打球は左翼へ転がり、サヨナラ適時打となった。駆け寄ってきた長谷川仁人(じんと)主将(3年)が「ありがとう」と声をかけてくれた。

 ポジションは遊撃手。1年生の秋にベンチ入りしたが、後輩の成長もあって2年の夏に外れた。

 打撃力を買われ、3年の春季県大会から再びベンチ入りし、背番号16をもらったが、公式戦で打席に立ったことはなかった。だが、同じくベンチ入りしながら出番がなかった長谷川主将と「準備だけはしておこう」と励まし合ってきた。

 この日、相手の左腕・高部陸投手(2年)は、八回に3三振を奪い、終盤でも球威は衰えない。「右打者の自分に出番があるかも」と、球筋を頭に描き、七回から素振りをくり返して集中力を高めた。

 初打席で劇的なサヨナラ打。「延長を覚悟していた。うれしい想定外」と沖田展男監督。森本選手は「野球が嫌いになった時もあったが、今日は『自分は(強運を)持ってるかも』。全員野球の中で、きっちり自分の役割を果たしたい」と話した。

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