兵庫県の斎藤元彦知事らがパワハラ疑惑などで内部告発された問題で、県議会の調査特別委員会(百条委員会)は25日午後、斎藤氏の側近だった片山安孝前副知事に対する証人尋問を始めた。
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片山氏は、文書で疑惑を指摘した元西播磨県民局長の公用パソコンを回収するなど、県の内部調査で中心的な役割を担った。百条委の証人尋問に出頭するのは9月、10月に続いて3度目。今回の証人尋問は総括質疑とされている。
片山氏には、内部告発で指摘されていた、昨秋のプロ野球優勝パレードの協賛金集めで金融機関に補助金をキックバックさせたとされる疑惑などについての質問が飛んだ。片山氏は過去の質疑と同様に「問題はない」と話し、持論を説明する場面もたびたびあった。
元県民局長は3月12日、斎藤知事や片山前副知事らの七つの疑惑を文書に記し、匿名で一部の報道機関などに送った。
片山氏は、斎藤氏から調査の指示を受けて、同25日に元県民局長を事情聴取し、元県民局長の公用パソコンを回収した。
元県民局長は4月、県の公益通報窓口に3月とほぼ同じ内容を告発した。だが、県は公益通報の調査結果が出る前に、内部調査で「(文書の)核心部分が事実ではない」と結論付け、5月に停職3カ月の懲戒処分を出した。
片山氏は、元県民局長が亡くなった7月、「県政に停滞と混乱を招いた」として、副知事を辞職した。辞職会見や過去の尋問では、斎藤氏に計5回、辞職を促し、断られたことも明らかにしていた。
片山氏はまた、過去の尋問で、元県民局長のメールを県が調査した際に「クーデター」という言葉が見つかり、公用パソコンにも「(斎藤県政の)転覆計画を実行に移そうとした資料があった」と発言。「斎藤政権に大きなダメージを与えようとする不正な目的があり、公益通報に該当しないと考えた」と述べていた。
百条委は今回、片山氏の主張の根拠などを確認するために、元県民局長の公用パソコン内の資料の提供を県側に求めている。