昨秋の知事選以降、SNSでの誹謗(ひぼう)中傷が問題となる中、兵庫県がネット上の誹謗中傷を防ぐ条例の検討を進めている。県がまとめた素案では、差別的な投稿に対し知事が削除要請などをできるとしたが、「表現の自由」との兼ね合いから、人種や性別などを理由とする差別的投稿のみに対象を限定している。来月有識者会議で検討し、今年度中の施行をめざす。
素案では、人種や民族、性別、障害、性的指向、性自認などの属性を理由とする侮辱などを「不当な差別」と定義した。県が有識者会議などの検討を踏まえて指針を策定し、「不当な差別」かどうかを判断する。「不当な差別」と判断すれば、知事がプロバイダーへの削除要請や発信者への指導・助言をできるとした。
兵庫県では、内部告発文書問題について調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)の委員だった前県議に対し、「知事を貶(おとし)めた主犯格」「黒幕」などとする投稿が昨秋の知事選期間中に拡散。前県議は今年1月に死去した。自死とみられる。その直後に政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏が「(前県議は)逮捕される予定だった」とSNSに投稿。県警本部長が否定し、立花氏は書き込みや動画を削除した経緯もある。
この「黒幕」のような投稿の場合、根拠がなかったとしても、人種や性別などによる差別ではないため、今回の条例素案では削除要請や指導・助言の対象とはならない。
この条例については、昨年7…