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出国できずに困るミャンマー人のため、在ミャンマー日本大使館などが設置した相談窓口には、多くの若者が相談に訪れていた=2025年4月11日、ミャンマー・ヤンゴン、笠原真撮影
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 国外での就労を望むミャンマー人が、断念せざるを得ない状況に追い込まれている。4年前のクーデターで実権を握る国軍統制下の労働省が、出国に必要な証明書の発給を止めたためだ。約3700人の死者が出ている先月末の地震で首都が被害を受けたことも、発給制限の一因とみられている。

 「日本で働くために準備してきたのに、内定を失ってしまう……」

 最大都市ヤンゴンに住むテイさん(22)は涙ながらに訴える。2022年からヤンゴンで日本語を学び、日本語能力試験(JLPT)の基礎的な会話ができるレベル「N4」に合格。昨年、オンライン面接などを経て千葉県の清掃業の企業から内定を得た。だが労働省から「海外労働身分証明カード(OWIC)」が発給されず、身動きが取れなくなった。

 OWICは、就労希望者が渡航先の内定や在留資格証明を取得後、労働省から発給を受けるもので、出国時に提示が求められる。だが同省は2月、発給を全面停止。理由は明かされていないが「国軍が徴兵の人員を確保するため」「人口流出を防ぐため」(送り出し機関関係者ら)と受け止められている。

 同省は3月、制限を一部緩和すると発表したが、その矢先の同月28日に、マグニチュード7.7の大地震が発生。首都ネピドーも被害を受け、各省庁は機能低下に陥った。その後発給が一部再開されたとの情報もあるが、動きは鈍く、労働目的で出国できない人が続出している。

 テイさんは出身地で武力衝突…

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