福井市で1986年に女子中学生が殺害された事件で、再審無罪となった前川彰司さん(60)の支援団体が13日、福井市内で報告集会を開いた。逮捕から38年にわたる無実の訴えが実ったとして、団体の解散を報告。前川さんの歩みからもみてとれる再審制度の問題に、今後も取り組んでいくという。
活動に区切りを付けるのは「前川彰司さんを守る福井の会」。冤罪(えんざい)被害者を支援する日本国民救援会福井県本部内に2015年、設立された。1度目の再審請求の棄却が確定した翌年にあたり、以降署名活動などを続け、前川さんを励ましてきた。
屋敷紘美副会長(81)は「前川さんの願いがかなえられた。おめでとう」と呼びかけ、人間の尊厳を守る闘いに通じることだと語った。一方で被害者の女子生徒の父親が生前、前川さんが犯人だと思って恨みを切々と訴えていたことに触れ、「警察・検察は前川さんに冤罪を押しつけただけでなく、被害者の恨みを晴らすことをしなかった。不合理、理不尽だと感じる」と話した。
祝福を受けた前川さんは「みなさんの勝利です。本当にありがとうございました」と感極まった表情であいさつ。「(事件発生の)20歳から60歳まで40年。私の現役生活のほぼ全てをこの事件に傾注した形になる。まるで福井事件に就職したようだと揶揄(やゆ)することもあるが、闘いはまだ続く」といい、再審法(刑事訴訟法の再審規定)の改正のために活動したいと語った。
事件をめぐっては、前川さん…