冬木透さん(左)と実相寺昭雄さん

 「ウルトラセブン」(1967~68年)などで知られる作曲家・冬木透さんが昨年12月に89歳で亡くなりました。じっくりお話を聞いたのは2006年12月。「セブン」のほか映画「無常」(70年)、「曼陀羅(まんだら)」(71年)、「シルバー假面」(06年)などでも名コンビぶりを発揮した実相寺昭雄監督の追悼記事のためでした。斬新な映像で「鬼才」の名をほしいままにした盟友への、温かな情あり、鋭い洞察あり。06年12月25日夕刊掲載の「惜別」で使わせていただいたコメントは30字ほどでしたが、取材ノートを繰ると素晴らしい言葉がいっぱい。冬木さんを悼み、ご紹介します。

 「実相寺は何かというと『フルートで行こうよ』。ベタつかない響きが好きだったんだろう。セブン8話『狙われた街』で、無人のダンプから『北川町に近寄るな』とダンに警告する声が出るところで、フルートとピアノが入る。6畳間にメトロン星人と向かい合って座るところでもやはりフルートとピアノ。セブン12話(封印作品として知られる『遊星より愛をこめて』)もフルートだったな」

 「昭和何年だったか(筆者注:37年=1962年)TBSのドラマ『おかあさん』で私が音響効果、彼がAD(アシスタント・ディレクター)。そのうちの1本で彼が初めて演出で一本立ちし、私も作曲をやった。『シルバー假面』の初号試写のときそれを話題にして『組んだのはあれが最初だったかね?』『たぶんね』といった会話をしました」

 「初期の彼の作品はハイキー…

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