厳しい冬を生き抜くため、動物たちは様々な工夫をしている。渡り鳥は、温暖な地方へ移動して越冬する。クマやリス、コウモリなどは「冬眠」によって厳しい季節を乗り越える。この冬眠の不思議に魅せられて、日々研究に励む研究者がいる。

 北海道大学低温科学研究所の山口良文教授(48)が、体を丸めた冬眠中のハムスターの動画を見せてくれた。手で持ち上げ、おなかを触り起こそうとしても、全く反応しない。死んでしまっているのではと心配になるほどだ。「この映像、初めて見たら驚きますよね」と山口さん。

 その後、触られたことが刺激になり、室温だと約1時間で起き出してくる。冬眠から起きたハムスターは、体中がしびれているかのようにヨタヨタと動き始め、少したつと元気に動き回るという。

 冬眠は、冬の低温や食物不足などの危機的な環境下で、全身の代謝を抑え、低体温によって乗り切る動物の生存戦略だ。変温動物である爬虫(はちゅう)類や両生類でも見られるが、恒温動物の哺乳類でも、約200種以上で観察されており、全哺乳類の15%以上が冬眠を行うとされている。

冬眠のスゴさ

 「冬眠する動物たちは、驚異的な能力を持っているんです」。山口さんは興奮気味に教えてくれた。

 その一つが、低温耐性だ。人…

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