解体作業が進む東京電力福島第一原発のタンク=2025年2月21日、福島県双葉町、朝日新聞社ヘリから、小宮健撮影

 東京電力が福島第一原発の処理水の海洋放出を始めてから24日で2年になる。これまでに約10万トンを放出し、敷地内のタンクには約128万トンが残る。このうち約7割は放射性物質の濃度が基準より高く、再び浄化処理(2次処理)する必要がある。作業が遅れれば、廃炉完了の目標である2051年までに放出が終わらないおそれもある。

 東電は事故で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)を水で冷やしている。その水を循環させているが、壊れた建屋には雨水や地下水が流入しているため、冷却水と混ざって汚染水は増え続ける。

 汚染水は、トリチウム以外の放射性物質を除去する「多核種除去設備」(ALPS)などで処理し、タンクで保管。1千基を超えている。

 東電は廃炉作業に必要なスペースを確保するため、23年8月から海洋放出を始めた。海水で100倍以上に薄め、トリチウム濃度が1リットルあたり1500ベクレル(国の放出基準の40分の1)未満であることを確認して海に流している。

福島第一原発のタンク貯水量の推移

 これまで14回に分けて計10.2万トンを放出したが、タンクの水の減少は5.8万トンにとどまる。建屋への地下水や雨水の流入が止まらず、汚染水が増え続けるからだ。今年4~6月は1日あたり約80トンの汚染水が新たに生じている。

 今のペースで放出しても、タンクの水がなくなるには40年はかかる計算になる。それでも東電は廃炉完了の目標とする51年までに放出を終えるとしている。水の中のトリチウムは自然に年約5%減るとして、東電は取材に対し「放出できる上限(年22兆ベクレル)を超えずに、放出の回数や量を増やすこともありうる」と説明する。

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