新たに開発した培養装置を使えば、1週間ほどで分厚い「培養チキン」ができる。中心部の細胞も生きたままだという=竹内昌治・東京大教授提供

 従来より質のいい培養肉の塊を作る技術を、東京大のチームが開発した。肉の内部から栄養や酸素を供給する装置を作り、中心部の細胞を生かしたまま培養できるようにした。ただ、まだ味わってはいないという。

 培養肉とは、家畜の細胞を培養してつくる食用肉のこと。人口増にともなう食料不足への対応▽げっぷやおならなどの家畜が出す温室効果ガスの削減▽動物福祉の向上――などが期待されている。各国で研究開発が進み、一部は商品化されている。

 ただ、細胞を培養液に浸して肉を育てるのが一般的で、栄養や酸素の供給は培養肉の外側からのみとなる。肉を分厚くしようとすると中心部まで栄養や酸素が行き渡らなくなり、細胞が死んでしまって風味が落ちる。筋繊維も均一になりにくく、肉らしい食感の再現が難しい。製造コストもかさむ。

 今回、東京大の竹内昌治教授…

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