大手ゼネコンの大成建設が請け負った東京都世田谷区庁舎の建設でトラブルが相次いでいる。2023年に工期の大幅な遅れが発覚。区は違約金の請求と指名停止という異例の措置で臨んだ。さらに今年に入って、大成が入札時に区に約束した条件を満たす「監理技術者」が異動後、適格者を補充できず、区はこの件でも違約金を請求する。前代未聞の事態が続いている。
大成建設は21年3月、世田谷区庁舎の建て替え工事の「技術提案型」の一般競争入札で、鹿島や清水建設に競り勝った。大成は予定価格421億円のところ3社のうち最も安い331億円で応札。入札は価格だけでなく技術提案の評価点も重視し、大成は鹿島に次ぐ2位だったが、価格と技術面の総合点では大成が優位に立ち、落札した。
ところが23年7月、工期の大幅な遅れが明らかになった。75カ月で終わるはずが97・5カ月かかるという。大成によると「コンクリートの固まる期間を見誤った」「それによってバルコニーの仮設支柱を取り付けられず、外壁工事ができなかった」などミスが主因で、最近の人手不足は関係ない。現場任せで、本社や支店のフォローが足りなかったというのだ。
保坂展人区長は「ミスという…