少子化や教員の働き方改革を背景に、公立中学校の部活動の運営や指導を地域が担う「地域移行」の取り組みが、兵庫県内でも進んでいる。地域や学校の実情はそれぞれ異なり、手探りの試みが続く。現場をのぞいた。
明石市の明石中央体育会館に6月上旬、市内10校の剣道部員約150人が集まった。この日が初めての練習会だった。
「お互いに競い合い、高め合ういい機会です」。指導を委託されている市剣道連盟の指導員が声を上げると、「はいっ!」と元気な返事が響き渡った。地元出身の県警警察官で、2015年の世界剣道選手権の男子個人戦で優勝した網代忠勝さん(43)の姿もあり、部員らは緊張した様子で、素振りや打ち込みに汗を流した。
同連盟の平野武彦会長(82)は「よその学校や(普段と)違う先生と練習するのはいいことだと思う。大人になっても剣道を続けてほしい」と目を細めた。
明石市では今年度から剣道部で、地域移行のモデル事業が始まった。同じ会場に全校の剣道部員が集まる「集合型」のほか、2校でそれぞれ週1回程度、連盟の指導員が各校を訪れる「派遣型」の2種類がある。今後は、ほかの部活動にも拡大する方針という。
平日に教えるのは顧問、休日は…
市教育委員会事務局の小林秀…