福田善之さん

 1960年代を代表する戯曲のひとつとされる「真田風雲録」などで知られる劇作家・演出家の福田善之(ふくだ・よしゆき、本名鴻巣泰三〈こうのす・たいぞう〉)さんが21日、肺炎のため死去した。93歳だった。葬儀は近親者で営む。喪主は長男冬太郎さん。後日お別れの会を開く予定。

 31年、東京生まれ。東京大卒業後、新聞記者を経て演劇活動へ。「長い墓標の列」(57年)を発表後、能楽師の観世栄夫らと青年芸術劇場を結成。真田十勇士の活躍に60年安保闘争の学生たちを批評的に重ねた「真田風雲録」は62年に初演され、63年には映画化もされた。64年、「袴(はかま)垂(だ)れはどこだ」が岸田国士戯曲賞に決まったが、選考委員への不信を理由に辞退した。

 ミュージカルなども幅広く劇作・演出。93年に「壁の中の妖精」「幻燈辻馬車」で紀伊国屋演劇賞個人賞、95年に「私の下町―母の写真」で読売文学賞。2001年に紫綬褒章。

 24年には新作「文明開化四ッ谷怪談」(共作・井村昂)を書き下ろした。NHK大河ドラマ「風と雲と虹と」(76年)の脚本も手がけた。

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