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厚生労働省=東京都千代田区

 致死率が高い「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」の患者が国内で増えているなか、厚生労働省は、日本への渡航を予定する人に「流行を理由に旅行を取りやめる必要はない」と呼びかけている。STSSの患者報告数は過去最多のペースだが、担当者は「基本的な感染対策をしてもらえれば、それほど心配はない」としている。

 国内のSTSSをめぐっては、3月に入り、欧州のメディアが「危険な感染症が日本で記録的な速度で増加している」などと報道。北朝鮮が平壌で開催予定だったサッカーの2026年ワールドカップのアジア予選を、「日本で広がっている伝染病への疫病予防」を理由に中止した一幕もあった。このため、渡航に関する問い合わせが増えているという。

 STSSは、主に小児の急性咽頭(いんとう)炎などの原因となる「溶血性レンサ球菌(溶連菌)」による感染症が、まれに劇症化したもの。新学期が始まる4、5月に感染者が増える傾向がある。発症後、急速に筋肉周辺の組織の壊死(えし)や多臓器不全を引き起こす。発症は30歳以上で多く、致死率は3割ほどとされる。

 国立感染症研究所によると、23年の国内の患者報告は過去最多の941人(速報値)。今年も3月24日時点で、すでに556人が報告されている。23年後半から関東を中心に、感染力が比較的高く、欧米などで流行している株の患者が増加しているという。

 今回の呼びかけについて、厚労省の担当者は「22年には欧州でSTSSが増加したが、このとき世界保健機関(WHO)の報告書では、流行している国への渡航制限は推奨しないとしている」と説明する。

 STSSは、手洗いやマスク着用、傷口を清潔に保つなどの基本的な感染対策が有効で、感染研の担当者は「それほど心配する必要はないと考えていただいていい」と話す。(足立菜摘)

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