Smiley face
写真・図版
横浜―県岐阜商 延長十回表横浜無死二、三塁、2点適時打を放つ阿部葉。捕手小鎗=伊藤進之介撮影

(19日、第107回全国高校野球選手権大会準々決勝 横浜7―8県岐阜商)

 九回を終えて、安打数は県岐阜商の12に対して横浜は5。横浜は打ち負けても、再三のピンチを堅守で乗り切り、延長戦に持ち込んだ。

 十回表、主将の阿部葉太(3年)が中前に2点適時打を放った。「為永(皓)がバントでつないでくれたので、絶対自分が決めようと思っていた」

 昨年5月、当時3年生の椎木卿五から主将を代わった。名門・横浜で、最高学年以外が主将を務めることは異例だった。

 先輩に指示を出すことは難しかったが、椎木の「俺も主将のつもりで引っ張るから一緒に戦ってくれ」という言葉に救われた。

 昨夏の神奈川大会を終えたあと、新チームは快進撃を続けた。「前の代からキャプテンとして色々経験し、新チームにスムーズに入れた」。「横浜1強」を掲げ、春の選抜大会の頂点まで駆け上がった。

 選抜の後はチームにおごりが生まれ、「全員野球」が徹底できていないと悩んだ。公式戦の連勝は5月に27でストップ。翌月、3年生全員でミーティングを開き、本音をぶつけた。「自分一人で引っ張っていたら限界がある。みんなもリーダーシップを発揮してほしい」。そこから、チームは再び前に進み出した。

 この日も「全員で守って、全員で勝利を求められた」。だが、県岐阜商の勢いを止められない。十回裏に同点に追いつかれ、十一回にサヨナラ負け。最後の走者がホームインするのを見ると、ひざから崩れ落ちた。

 「春夏連覇は難しい。ただそのひとこと」。悲願まであと3勝で涙をのんだが、すがすがしい表情で言い切った。

 「横浜高校に来て良かった」

共有