滋賀県栗東市の山下りささん(36)は訪問美容師。様々な理由で美容室に行けない人たちのもとを訪れ、髪をカットする。「化学物質過敏症」など、においで苦しむ人たちも受け入れる。全国でも珍しいという。
山下さんの〝ママ友〟で大津市に住む菊地佳奈さん(37)は、芳香剤や防虫剤などのにおいが苦手だという。「風邪をひいている時は、シャンプーや香水が強めの人とすれ違うだけで呼吸が苦しくなる」
10年ほど前から症状が表れるようになった。この話を他人にすることはないが、「山下さんとは同じ話ができるので安心感がある」と話す。
山下さんは2008年に美容師免許を取得。愛知県内のサロンで働く傍ら、休日は訪問美容師として病院や特別養護老人ホーム、児童養護施設などで仕事をした。長女真桜ちゃん(2)の出産を機に退職。昨年2月に夫の転勤で栗東市に引っ越し、同12月に訪問美容師として独立した。
「強いにおいが苦手」
そのころ、化学物質過敏症の…