ロシアに派遣され、ウクライナ軍と戦う北朝鮮兵に多数の死傷者が出ていると指摘されています。韓国の情報機関・国家情報院によれば、約300人が死亡したとみられます。北朝鮮では、戦死したらどのような扱いを受けるのか。どのような統制がおこなわれているのか。2023年5月に脱北し、韓国の大学に通う金日祘(キムイルヒョク)氏(33)に話を聞きました。
――どうして脱北したのですか。
私は出身成分(北朝鮮独自の身分制度)が労働員で、漁師だったのですが、農場員の妻と結婚しました。北朝鮮の決まりでは、私は結婚したら農村に住んで農業に従事する必要がありました。それが嫌だったので、妻の出身成分を偽って提出しました。
22年の中ごろ、金正恩(キムジョンウン)(総書記)が虚偽申告に対する処罰を強化し、教化所(刑務所)に行かなければならない危険が出てきたため、家族9人全員で船を使い、西海(黄海)から脱出して韓国に入りました。
【連載】読み解く 世界の安保危機
ウクライナにとどまらず、パレスチナ情勢や台湾、北朝鮮、サイバー空間、地球規模の気候変動と世界各地で安全保障が揺れています。現場で何が起き、私たちの生活にどう影響するのか。のべ300人以上の国内外の識者へのインタビューを連載でお届けします。
――脱北前の生活を教えてください。
私は黄海南道(ファンヘナム…