北極で冬季に観測された海氷の最大面積が観測史上最も小さくなったと、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などが18日、発表した。研究チームは「北極海周辺の気温が平年より高かったことが影響」としている。
北極の海氷面積は例年、10月~翌年3月に拡大し、4月~9月に縮小する。JAXAと国立極地研究所が、水循環変動観測衛星「しずく」で観測したデータを分析したところ、冬季の海氷最大面積は3月20日に観測した1379万平方キロメートルにとどまった。これは1979年の観測開始以来、最小だった。これまでの最小記録は2017年3月の1392万平方キロメートルで、今回はそれを13万平方キロメートル下回った。
また、今年の冬は24年12月~25年2月にかけても、いずれの月も平均の海氷域面積が、その月としては観測史上最小を記録した。研究チームによると、24年12月~25年2月に北極海周辺の気温が平年より高く、海氷域が広がりにくい状態が続いたことが海氷の減少の一因だという。
25年度には新たな観測衛星「GOSAT-GW」の打ち上げも予定していて、極域の海氷を継続して観測する。JAXAの山川宏理事長は「地球規模の気候変動と関連する現象で、気象や海洋環境への影響が懸念される。今後も継続的なモニタリングと解析を続けていく」と話した。