山の斜面で草をはむスバールバル諸島のトナカイ

 気温上昇に伴い、北極域では雲の中で氷ができる際の「核」となる粒子の濃度が劇的に上がっていることを、国立極地研究所などのチームが突きとめた。この粒子の濃度が上がると雲は薄くなり、太陽の光が地面によく届くようになる。北極域は地球上で最も早く温暖化が進んでいるとされており、今後、この現象の影響などを年単位の観察で調べるとしている。

 北極域では低く雲が垂れ込め、曇る日がよくある。こうした低い位置にできる雲は、水滴と氷の粒の両方を含んでいることが多い。水滴が多い雲は厚くて太陽の光を通しにくく、氷の粒が多い雲は薄くて光を通しやすい傾向がある。これまでの気候変動の研究では水滴と氷粒の割合と温度との関連などが調べられてきた。

温度だけではなく「エアロゾル」がカギ

 チームはこれに加え、これまでデータが少なかった大気中の細かな粒子「エアロゾル」の濃度も関わるのではと考えた。実は、雲の中の水滴は0度以下になっても、よりどころとなる核がなければ零下36度近くまで凍らないためだ。

 北極域の中でも特に温暖化が…

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