1月1日時点の公示地価が国土交通省から18日発表され、北海道内の住宅地・商業地・工業地を合わせた「全用途」の平均変動率はプラス2.0%と、9年連続で上昇した。特に商業地では、次世代半導体製造会社ラピダスの進出効果で、JR千歳駅周辺の伸び率が全国1~3位を独占した。
道内全用途の上昇率は、2023年の6.8%、24年の4.6%から引き続き縮小。物価上昇に伴う建築費の値上がりや日本銀行の利上げ政策による住宅ローンの金利上昇への警戒感が、上げ幅を抑えた。
住宅地では、海外富裕層向けのリゾート地として注目されている富良野市・北の峰地区の伸び率が、昨年に続き全国首位に。道内平均は7年連続で上昇してプラスの1.4%だった。人口10万人以上の市でみると、ラピダスや関連企業で働く人の余波から苫小牧が4年連続の上昇でプラス4.7%、農畜産や関連産業が好調な帯広が8年連続のプラスで4.2%、札幌は12年連続プラスの2.9%だった。
一方で、人口減が進む小樽が6年連続の下落でマイナス0.6%、北見が24年連続のマイナスで0.4%、函館は27年連続のマイナスで0.2%だった。
商業地では、千歳周辺の好調もあり、道内平均は10年連続で上昇しプラスの3.1%だった。札幌は12年連続の上昇でプラス6.0%、小樽が9年連続の上昇でプラスの2.4%、函館が5年ぶりに上昇しプラスの1.0%と、訪日客が多い都市の好調が目立つ。一方で北見はマイナス0.7%と33年続けて、釧路もマイナス0.1%と5年連続の下落に。夕張など過疎地では下落率が全国トップクラスになるなど、高低の差が激しい。
また、北海道新幹線の札幌延伸は最速でも38年度末以降になる見通しとなったが、北海道不動産鑑定士協会の横山幹人理事は「札幌駅周辺は古い建物が多く、建て替え自体は今後も進むだろう。再開発計画を丁寧に練り直せば、建設関係の人手不足も緩和される」と前向きにみる。
公示地価は、土地の取引価格や固定資産税の目安となるもので、国交省が毎年判定。今年の道内は99市町1345地点が対象だ。一方で国税庁は、相続税や贈与税の算定基準となる路線価を毎年夏に公表している。
不動産投資、慎重な見方も
ラピダスの工場建設で人の流れが活況を呈する千歳市。足もとではホテルやマンション不足が課題だ。不動産業界では積極的に投資する動きがある一方で、慎重な見方もある。
千歳での半導体関連企業が増えるのに伴い、周辺地域でのホテル需要も急増。千歳のビジネスホテルでも「1泊1万円では泊まれなくなっている」(地元関係者)。
不動産開発のアルファコート…