2027年開院予定の順天堂大学医学部付属病院をめぐり、誘致した埼玉県と順大のせめぎ合いが続いている。病院公募時に県が示した条件の一つ「医師不足地域への医師派遣」についての協議がまとまらないからだ。県が一部を負担する整備費が巨額になる可能性もあり、懸念の声もあがる。(西田有里、黒田壮吉)
1月末、地元の企業関係者や住民が集まる「順天堂大学病院出院を歓迎する会」が開院予定のさいたま市緑区の浦和美園地区であった。
新病院には800の病床があり、医師は300人勤務する。周産期母子医療センターや救命救急センター、がん治療の影響を最小限に抑える県内初の陽子線治療施設などを備え、看護師などを養成する大学や、大学院も設置する。
当初21年3月の予定だった開院が大幅に遅れた経緯もあり、順大担当者から新病院の説明を受けた住民は「ようやく病院が来る。うれしい」「地域の特色になる」と期待を寄せた。
一方、県が病院誘致にあたって「一番の狙い」と位置づけていたのは、開院条件にもなっている順大からの医師不足地域への医師派遣だ。
厚生労働省の22年の調査で…