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コペンハーゲンにあるコンサル「ReD Associates」のオフィスで働く社員たち=8月、Nanna Munneckeさん撮影
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 「デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか」。そんなタイトルの本が昨年出版された。雇用政策の成功例として世界的に注目を浴びたデンマークは、国際競争力ランキングもトップクラス。短い労働時間でも高い生産性を保っている。一方の日本は、先進国で最下位クラスに落ち込んでいる。著者でデンマーク文化研究家の針貝有佳さんは、成功の秘訣(ひけつ)を「やりたい仕事をしていること」と話す。

――なぜデンマークの働き方に着目されたのでしょうか?

 もともと早稲田大大学院でデンマークの労働市場政策について研究していました。労働者を解雇しやすくして市場の流動性を高め、その分、労働者が失業しても路頭に迷わないための保護を両立させるという政策です。

 ただ、研究して理論は分かったものの、実際にデンマークの人たちがどんな価値観を持って、どう働いているのかが分かってきたのは、2009年から現地に住むようになってからです。

働き方を決めるのは「大切にしたいもの」

――どんな考え方があるのでしょうか?

 デンマークは、スイスの国際経営開発研究所(IMD)が出している国際競争力ランキングで、2022年と23年に総合1位でした。今年はシンガポール、スイスに抜かれましたが、それでも3位です。

 このランキングは、「経済状況」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ」の4分野の評価で決まります。デンマークは特に「ビジネスの効率性」が強く、5年連続で1位でした。一方、日本は総合ランキングで67カ国中38位。最も弱いのが「ビジネスの効率性」で、51位でした。

 「ビジネスの効率性」は、生産性と効率性や経営慣行などを総合した指標です。生産性や競争力と聞くと、仕事を速くこなすことを想像するかもしれません。しかし、デンマークの人たちの暮らしぶりはのんびりしています。人生や仕事で何を大切にするのかという軸を持って、物事の優先順位をはっきりつけているのです。

 根底にあるのは、プライベートが充実してこそ仕事ができるという考え方です。

 例えば、家族や大事な人との関係が崩れてしまったら、大きな悩みごとになりますよね。それを抱えながら、仕事で高い成果を出すのは難しい。

 「ワーク・ライフ・バランス」と聞くと、仕事と生活のどちらを取るかが対立しているように聞こえますが、ライフがあるからワークがある、そしてワークがうまくいくとライフも充実するのです。

 仕事が忙しすぎると、自分が人生で何を大切にしているのかが見えづらくなってしまうので、決して無理をしない。優先順位を決めて、3、4位以下は落としていくという考えなのです。

――どうやって優先順位をつけ…

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