卒業証書に使う和紙をつくる中学生たち=埼玉県小川町小川

 旅立ちの証しを自らの手で――。和紙を特産とする埼玉県小川町で、町立中学の3年生が卒業証書に使う和紙作りに取り組んだ。

 「細川紙」の技術がユネスコ無形文化遺産に登録され、和紙作りの伝統が息づく同町。地元の中学生による卒業証書作りは、1985年から続く恒例行事だ。

 6月25日は小川中の87人、26日は東中の94人が、細川紙技術者協会の職人たちと一緒に「溜(た)め漉(す)き」の技法で和紙を作った。

 生徒たちは、水で溶いた和紙の原料を入れた水槽「舟」に、「簀桁(すげた)」と呼ばれる道具を浸してすくい上げる。最後に職人が1枚ずつ絞って乾かしていく。

 「自分だけの1枚」に、生徒たちは真剣な表情を見せた。木村蓮助さん(14)は「卒業式が楽しみ」。宮岡実花さん(15)は「職人さんたちの仕事の大変さが理解できました。一生の思い出。ずっと大切にしようと思います」と話していた。

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