ともに核保有するインドとパキスタンは今年5月、4日間にわたり軍事衝突を起こした。停戦から3カ月余り、国境地帯をパキスタン側から訪れると、一見日常が戻りつつある一方、異変が静かに進んでいた。
パキスタン東部ラホール郊外にあるワガ国境検問所。けたたましい太鼓のリズムに合わせ、印パ両軍兵士たちが足を高々と上げて行進し、相手をにらみつけて、歌舞伎の見得のようなポーズを取る。パキスタン側の観覧席の約千人と、その2~3倍のインド側の観衆から大声援が巻き起こった。
日没前に、国境を挟んで両軍が行う国旗降納式だ。軍事衝突から約2週間中断したが、今は復活。観光名所の日常が戻ったようにみえる。ただ、衝突前は開いていた鉄格子の国境ゲートは固く閉じたまま。恒例だった両軍兵士の握手もなくなった。
「ここに来ると戦意が高まる…