天皇陛下が出席して行われた剣璽(けんじ)等承継の儀で剣璽を捧げる侍従。天皇陛下の右は礼宮さま、三笠宮さま、高円宮さま(いずれも当時)=1989年1月

 天皇陛下をはじめ、皇族方の活動や皇室に関連する出来事を過去にさかのぼって紹介する「皇室365」を始めました。皇室のあり方が問われる中、公務や宮中行事などのトピックを毎週、担当記者が詳しく読み解きます。

■5月1日(2019年)新天皇陛下が即位

 2019年のこの日、新天皇陛下が即位した。126代(神話を含む)天皇として、関連行事に臨んだ。

 当時、天皇陛下は59歳。生年月日の記録が残る8世紀以降の天皇で、2番目に高齢での即位となった。最高齢の即位は光仁天皇の60歳。明治天皇は14歳、大正天皇は32歳、昭和天皇は25歳、平成の天皇陛下は55歳(3番目に高齢)だった。

 1日は午前10時半から、皇位のしるしとされる神器などを引き継ぐ「剣璽(けんじ)等承継の儀」が開かれた。「剣璽」は皇位のしるしとして天皇家に伝わる「三種の神器」のうち、剣と璽(勾玉(まがたま)まがたま)。昭和から平成への代替わり時にも行われた儀式だ。

 儀式に出席できるのは成年の男性皇族のみで、皇位継承権のない女性皇族は出席できない。皇位継承順位1位で「皇嗣」となった秋篠宮さま、上皇さまの弟である常陸宮さま(同3位)が出席した。

 続いて、午前11時10分からは、新天皇が首相らと会う「即位後朝見の儀」が行われた。新皇后となった雅子さまが同席するなか、即位後、最初となる「おことば」を述べた。おことばの全文は次の通り。

 《日本国憲法及び皇室典範特例法の定めるところにより、ここに皇位を継承しました。

 この身に負った重責を思うと粛然たる思いがします。

 顧みれば、上皇陛下には御即位より、三十年以上の長きにわたり、世界の平和と国民の幸せを願われ、いかなる時も国民と苦楽を共にされながら、その強い御心(みこころ)を御自身のお姿でお示しになりつつ、一つ一つのお務めに真摯(しんし)に取り組んでこられました。上皇陛下がお示しになった象徴としてのお姿に心からの敬意と感謝を申し上げます。

 ここに、皇位を継承するに当たり、上皇陛下のこれまでの歩みに深く思いを致し、また、歴代の天皇のなさりようを心にとどめ、自己の研鑽(けんさん)に励むとともに、常に国民を思い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としての責務を果たすことを誓い、国民の幸せと国の一層の発展、そして世界の平和を切に希望いたします。》

 即位から3日たった5月4日…

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