北朝鮮による日本人拉致事件のうち、1980年に大阪市の原敕晁（ただあき）さん（当時43）が拉致された事件の実行役とされる韓国籍の金吉旭（キムキルウク）容疑者について、警視庁は2日、金容疑者の死亡を確認して逮捕状を裁判所に返還し、国際刑事警察機構（ICPO）が国際手配を解除したと発表した。金容疑者を巡っては、韓国側から「死亡した」との情報が日本側へ寄せられていた。共謀の北朝鮮工作員の辛光洙（シングァンス）容疑者（94）が国際手配中のため、現時点で書類送検はしないという。
日本人拉致で警察は8事件で11人を国際手配しており、死亡確認は初めて。警視庁公安部によると、韓国側からの情報では2018年3月13日に死亡したといい、90歳だったという。
警視庁などによると、金容疑者は辛容疑者と共謀して1980年6月、中華料理店店員だった原さんを、宮崎市の青島海岸から工作船で北朝鮮に拉致したとされる。日本の警察は、北朝鮮にいるとされる辛容疑者が主犯であることから、金容疑者の身柄引き渡しは求めてこなかった。
