全国初の「中間貯蔵施設」(青森県むつ市)への使用済み核燃料の搬入を地元が容認した。国策の一環で、50年後の搬出を約束するが、守られるかは不透明だ。国や電力業界からの支援に依存を強める地域で、懸念の声はあるが、広がってはいない。
「国策なら、国のハンコをもらって下さい」
施設があるむつ市で3日にあった県などの説明会で、地元の市民団体代表の野坂庸子さん(77)が声を上げた。
東京電力ホールディングスと日本原子力発電の子会社で、施設を運営する「リサイクル燃料貯蔵」(RFS)は、県、市と安全協定を結び、燃料を最長50年で施設外に搬出すると約束する。ただ、締結者に国は加わっていない。「国策」として使用済み核燃料を一時保管するのならば、国は50年後の搬出にも責任を持つべきではないか――。そんな思いからの指摘だった。
だが、経済産業省の担当者は、施設の安全性を法に基づき許認可するのが国の立場だとして、「(安全協定は)あくまでRFSと県、むつ市が締結するシンプルなもの。ご理解を」などと答えるにとどめた。
経産相「原発利用へ不可欠」
23日には、斎藤健経産相が青森県の宮下宗一郎知事と面会。斎藤氏は「むつ中間貯蔵施設は、核燃料サイクルを確立し、今後とも安定的かつ継続的に原発を利用していくうえで不可欠」と強調した。
ただ、有力な搬出先で、燃料からプルトニウムなどを取り出す同県六ケ所村の再処理工場は完成のめどが立っていない。今月に県内6カ所であった説明会では「50年後の搬出先が不明確で到底安心できない」などと懸念する声が相次いだ。
しかし、県内で反対の声は広がっていない。そもそも、施設を誘致したのは財政難に苦しむむつ市だった。電源立地地域対策交付金により、市は12年続いた一般会計の赤字を2010年度に黒字化。09年の新庁舎への移転も、事業費約28億円のうち、半分以上を東電と日本原電からの寄付で賄った。
使用済み核燃料の搬入後、市は施設側に独自に課税し、耐震基準を満たさない、築45年超の地元の総合病院の建て替えなどに使う。山本知也市長は「(施設を)多くの住民が希望している」と述べる。
原子力関連施設、集中する下北半島
施設がある下北半島には、核…