原子力総合防災訓練で、陸上自衛隊川内駐屯地に着陸した輸送ヘリから降り立った国の担当者ら。前列左端は中田宏・環境副大臣=2025年2月14日午後5時1分、鹿児島県薩摩川内市、日吉健吾撮影

 国の原子力総合防災訓練が14日、鹿児島県で始まった。地震に伴って九州電力川内原発(同県薩摩川内市)で重大事故が起きたとの想定で、16日まで住民避難や屋内退避などの訓練を実施。昨年1月の能登半島地震後では初の国の訓練で、孤立地区の発生など複合災害の対応も検証される。

 国と鹿児島県、地元市町、九電など294機関、住民ら約4800人が参加。薩摩半島西方沖で最大震度7の地震が発生し、川内原発2基のうち1号機で原子炉が冷やせず、放射性物質が大量に放出される恐れが生じたと想定。放射線量を測定するモニタリングのほか、船舶、ヘリコプターを使った孤立地区からの避難や物資の輸送なども行う。

 14日は川内原発の近くにあるオフサイトセンターに災害対応要員を招集した現地対策本部を設置。情報収集や関係機関の連絡などにあたった。緊急事態の3区分のうち2番目に深刻な「施設敷地緊急事態」の発出を受けて1回目の現地事故対策連絡会議を開き、原発や放射線量の観測状況が報告され、住民避難に向けた準備を協議した。

 2日目以降は、事態の進展にあわせて、PAZ(5キロ圏内)からの避難、UPZ(5~30キロ圏内)の屋内退避や避難訓練などが実施される。3日間の訓練で課題を明らかにして避難計画の見直しなどを進める予定だ。

共有
Exit mobile version