IKUNO・多文化ふらっと(大阪市生野区)が運営する学習教室は2017年、「クロスベイス」の名で生まれた。
コリア国際学園(茨木市)の事務局長を退職した、在日コリアン3世の宋悟(そんお)(63)が「30年近く暮らす生野に何か還元したい」とコリアタウンの商店の2階を借りて開いた。
2カ月間は誰も来ず、1年ほどは近所の子が数人集まる程度だった。宋は区内の小中学校を回って宣伝。近くの中学校長が、ベトナムから来日間もない生徒2人を教室に連れてきた。
そこから口コミで広がり、日本語に課題がある来日生徒が徐々に集まった。高校生にも対象を広げ、キャンプや大学見学などの活動も企画。今や約100人が登録する。
ふらっと職員の金和永(きむふぁよん)(34)は大学院生だった設立時、宋に声をかけられて参加した。
教室では「子どもが自分で選ぶこと」を大切にしており、金は「宿題をするのも休憩するのも、講師と相談しながら自分で決める。それが子どもの自信につながると思います」と話す。
中1から大学合格まで「ずっとそばにいてくれました」
昨年12月7日、多文化ふらっとの教室で、金がみんなに呼びかけた。
「皆さん、聞いてください…