7月20日に投開票された参議院選挙で、政治経験ゼロの主婦が群馬選挙区(改選数1)から立候補した。選挙事務所はなく、ポスターもない。公示後は家事をこなしながら毎日1~2時間だけ街頭に立った。得票数は候補者7人中6番で、2.96%にあたる2万4497票を集めた。選挙に挑み、何を感じたのか。
群馬県高崎市で夫と中学生の娘、小学生の息子と暮らす辛嶋美紀さん(49)。投票日が3日後に迫った7月17日午後5時過ぎ、たすきを掛け、太田市役所前の交差点に1人で立っていた。信号が変わる度に場所を移し、通行車両に頭を下げた。
暗くなるまで約2時間で2千台以上。たまにドライバーが手を振ってくれ、赤信号待ちの数人から声を掛けられた。「名前と顔を覚えてもらうのが第一。今日は手応えがあった。帰りは乗り換えで時間があったらラーメンを食べたい」。県選挙管理委員会から支給された運賃が無料の特殊乗車券を提示し、駅の改札口を通っていった。
「毎日、ちょっとした旅行気分」。公示から投票前日まで、前橋や高崎、桐生、渋川、富岡など各市のほか、片品村にも行った。旅行者や家族連れでにぎわう道の駅で、敷地の外に追いだされたこともあった。
掃除や洗濯に追われ、家族の夕食を作り終えると、ようやく選挙活動に打ち込む時間になる。1人でも多くの有権者に顔を覚えてもらおうと、暑い中、笑顔を浮かべ、丁寧にお辞儀をしてきた辛嶋さん。なぜ、無所属で立候補し、何を訴えたかったのか。供託金300万円を没収され、何を感じたのか。そして、これからは? 話を聞いてみると……
神戸女学院大学を卒業後、関…