サンタ帽をかぶった男の子が泣いている。父親がその右肩を2度、やさしくたたいてなだめていた。
ドイツ東部マクデブルクのクリスマスマーケットで20日夜に起きた車を使った群衆への襲撃事件。翌21日昼、事件現場そばの教会には多くの市民が献花に訪れていた。あちこちから聞こえるすすり泣きが、静寂を際立たせる。
ドイツ市民にとって、クリスマスマーケットは文化そのもの。冬に欠かせない一大イベントで、家族や友人との集いの場でもある。
人口約24万人のマクデブルクの中心部にあるマーケットには、200前後の店が並んでいた。クリスマス直前の週末。そんな場所に、250メートル四方ほどの規制線が張られ、立ち入りは禁止された。ゴミ箱が倒れ、紙ナプキンが散乱している。
何十台もの警察車両が付近を取り囲み、警察官が目を光らせる。そばに寄ることさえできないクリスマスツリーや、誰も乗っていない観覧車が、悲劇の大きさを物語る。
路上に倒れる人々 叫び声、泣き声も
20日午後7時。マルテ・ゴ…