メディア空間考 宮崎陽介
オピニオン面の耕論「植物という存在」(4月16日付)の取材で、SF作家の津久井五月さんに話を聞いた。デビュー作「コルヌトピア」は、植物にその生理機能を使って演算を行わせ、人間が活用するという未来を描いている。
なぜ、私がこの話をするかというと、植物が感じている知覚世界を想像することが、記者の仕事を考えることに少しつながってくるように思えたから。
植物だって外界と細やかな情報交換をしているはず。津久井さんとはそんな話をした。植物には植物の、さらに、動物や昆虫などを含めて生き物にはそれぞれの知覚世界、意味世界がある。生物学者ヤーコプ・フォン・ユクスキュルはそれを「環世界」と呼んだが、この視点は生き物を外側からの観察だけでなく、内側に入り込んで「主体的に」世界を眺める視点を与えてくれる。
では、人間同士はどうか。例…