岐阜刑務所に服役中の男性受刑者(47)が、全裸で身体検査をされたことで精神的苦痛を受けたなどとして、国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が17日、名古屋高裁であった。
片田信宏裁判長は、全裸での身体検査や、カメラ付きの部屋で収容を続けた点などを違法とした一審・岐阜地裁判決を変更。全裸での検査のみを違法だとし、一審よりも約36万円少ない11万円の賠償を国に命じた。
控訴審判決などによると、男性は2020年、別の受刑者とのけんかで、足の小指を踏まれて腹を殴られたと刑務所職員に申告。職員は男性を全裸にして身体検査をし、撮影した。その後、男性が食事を拒否したため約7カ月にわたりカメラ室に収容した。
片田裁判長は、検査箇所は暴行を受けたとされる腹や指だけで十分で、全裸にする必要性は無いとした一審判決を支持。「羞恥(しゅうち)心や名誉感情に対する配慮を著しく欠く」と指摘した。
一方、カメラ室への収容は一審と異なり、男性が精神的に不安定だったことなどから必要性があったとして、違法性を否定した。
岐阜刑務所は、「今後、判決内容を精査して関係機関と協議した上で適切に対応して参ります」とコメントした。