受験シーズンが近づいています。万全の状態で本番に臨むには健康管理が欠かせません。睡眠、メンタルトレーニング、食事でできる事前の対策をそれぞれの専門家に聞きました。(いずれも2023年12月掲載のインタビュー記事を再構成しています)
■専門クリニックの医師、白濱龍太郎さんに聞く睡眠
――夜遅くまで勉強し、朝起きるのが遅い受験生も少なくないと思います。試験は午前中からが多いですが、どう調整すればよいでしょうか。
受験の日にいきなり早めに起きるのではなく、時間をかけて慣れてほしいですね。最大30分を目安に早め、数日継続したらもう少し早くするのがよいでしょう。
光を感じることで脳は覚醒に向かいます。目覚まし時計の音ではなく、光を感じて目を覚ますことを意識してほしいです。例えば午前7時に起きたい場合、保護者に30分前の午前6時半に部屋の明かりをつけてもらうのがおすすめです。
――夜寝やすくするにはどうしたらよいでしょうか。
お風呂は寝る前の90~120分前に入り、10分程度の入浴がよいでしょう。風呂に入る前後どちらかで体のストレッチをするのもおすすめです。お風呂や負担の少ない運動で深部体温(体の中心の温度)を上げてから、睡眠に向けて徐々に下げていくことで眠りやすくなります。
夕方以降にスマートフォンなどのブルーライトを浴びると、睡眠に作用するホルモンの分泌が低下する可能性があります。ブルーライトカット機能がある眼鏡を使いましょう。また、夜に血糖値が上がりやすい物を食べると、血糖値が乱高下して眠りにくくなるので避けましょう。
眠るためには準備が必要です。寝る前に音楽や読書など、勉強以外のルーチンがあるとよいでしょう。やることがないという人におすすめしたいのは、自分が今考えていることをノートに書き出すことです。不安に感じていることも、書き出して頭から一度外に出すことで落ち着くことができます。私自身も実践しています。
■メンタルトレーナー高畑好秀さんに聞く、メンタルの整え方
――本番で力を発揮するためにできるメンタルの整え方はありますか?
まずは完璧主義をやめることです。解けない問題に固執して「できない」と悩む必要なんてない。受験は満点を取る必要はないんですから。
例えば6割が合格点だとすれば、6割をどこからどう取るかを考えればいいわけです。一つわからなくてもその分得意な問題で取ればいい。難しい問題なら解けるところまでやって部分点を狙えばいい。完璧でなくてもいいんだと思えて気が楽になります。
考え方の癖付けには、毎日そのことを考えることが効果的。いい結果を出せる考え方の癖付けをするのがメンタルトレーニングです。
――試験直前にできる緊張を和らげる方法は?
試験を「落とすための試験」ではなく「自分を取ってもらう試験」と考えるといいでしょう。自分のできるところ、得意なところに目が向いて、緊張や不安が和らいでくると思います。
簡単にできるメンタルスキルもあります。受験など過緊張の状況では、副交感神経を適度に刺激してあげるといいのです。
例えば、試験前夜はぬるま湯で半身浴。当日はゆったりした呼吸を心がけるといいでしょう。手をこすり合わせるだけでも副交感神経を刺激できます。休憩時間などは、唾液(だえき)分泌を促進するガムやあめを口に入れるのがオススメです。
試験では「はじめ!」の合図でみんな急いで問題に取りかかりますが、あえて一息置いて取り組むのも手です。
■料理研究家みきママこと藤原美樹さんに聞くオススメレシピ
――受験当日の朝にオススメのメニューは?
ブロッコリーを添えた「しらすオムレツ」です。しらすなど魚に含まれるDHAは緊張や不安など精神的ストレスによく、カルシウムは頭の回転をよくする働きがあると言われています。
卵や大豆に含まれるレシチンは集中力や記憶力アップに効果的で、ブロッコリーに含まれるビタミンCはストレスや病気への抵抗力を高める働きがあるそうです。調味料はしらす! 塩味がほどよく利くので、調味料いらずです。
前日の夜であれば、うどんや鍋など、胃もたれせずに温まるごはんがオススメです。
――受験生を支える親たちに伝えたいことはなんですか。
子どもを最優先して親が疲れてしまってはダメ。笑顔で元気に受験生を支えられるように、まずは親がしっかり栄養を取ってください。それから子どもの食事を気にしてあげて。
イライラしがちだったらイソフラボンが入っている納豆などの大豆食品や、カルシウム豊富なチーズやししゃも、パワーをつけたいならお肉、感情的になっていたら果物を食べるようにしています。食べ物次第で子どもも親も頑張ろうという気持ちになれると思います。