京都府亀岡市の千代川遺跡で古墳時代の木製導水管「木樋(もくひ)」が見つかった。当時の「水のまつり」に関連した施設の一部である可能性がある。発掘調査をしている府埋蔵文化財調査研究センターが22日、発表した。
千代川遺跡は東西1・4キロ、南北1・9キロの広大な遺跡だ。縄文時代から中世にいたる多くの遺構や遺物が見つかっている。古代の役所「丹波国府」があったと推定される場所の一つとしても知られている。
今回見つかった木樋は長さ180センチ、幅20センチの木材に、断面が方形となる溝が彫り込まれている。古墳時代前半期(4~5世紀前半ごろ)のものとみられる。
木樋の中では、南郷大東遺跡(奈良県御所市)の長大な出土品が有名だ。地域の有力者がとりおこなった水を流す祭祀(さいし)に用いられた導水施設と考えられている。
同センターの山本梓主任は、今回の調査地近くにある首長墳とみられる古墳にも注目。当時の首長は水を用いる農耕もつかさどったという。「農地開発など事業の成功を祈って祭祀をおこなっていたのだろうか」。千代川遺跡での木樋発見は、地域開発のあり方を考える上でも貴重という。
現地説明会は12月1日午後2時からの予定。小雨決行。問い合わせは現地調査員の携帯電話(080・1402・4309)。(清水謙司)