囲碁の史上最年長棋士、杉内寿子(かずこ)八段(98)が19日、引退を発表した。2017年に夫の雅男九段が97歳で死去したあと現役最年長となり、夫の記録を抜いて碁を打ち続けた。20日付で引退し、21日付で女性初の九段に昇段する。
杉内八段は太平洋戦争さなかの1942年にプロ入り。女流タイトルを10回獲得するなど第一線で活躍してきた。通算成績は635勝970敗6ジゴ(引き分け)。
近年は勝利から遠ざかっていた。棋戦の多くは持ち時間各3時間で、相手と合わせて6時間にわたる対局は厳しかったようだ。最後の対局は今年7月10日の王座戦予選。不戦敗だったが、98歳4カ月4日の最年長対局記録として囲碁史に残る。
引退に当たり、杉内八段は日本棋院を通して「『碁は芸道にして一生の修行』を信条に今日まで励んで参りましたが、六時間休憩なしの対局は、これ以上無理と判断いたしました。棋士を志してより八十余年、多くの方々にご厚情を賜り深謝申し上げます」とのコメントを出した。