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 捜査に協力する見返りに不起訴などにしてもらう「司法取引」。新たな捜査手法として導入されて6年が経つが、適用は5件にとどまっている。背景には何があるのか。

 「司法取引で得た供述を裁判所が信用できると認めれば、影響は全国に波及するかもしれない」

 ある検察幹部は、4日に東京高裁が言い渡す判決に注目する。日産のカルロス・ゴーン元会長への報酬をめぐる事件の「共犯者」とされた元役員の裁判だ。司法取引に応じた元幹部の供述への評価が焦点になっている。

裁判所が示した「不信感」

 司法取引は、2010年の大阪地検特捜部による証拠改ざん事件を受けた改革の一環で導入された。米国などは自分の罪を認めることで量刑が軽くなるが、日本では他人の犯罪の証拠提出や証言と引き換えに、不起訴や軽い求刑を得られる。

 18年6月に制度が始まると、東京地検特捜部が約1年半の間に、日産事件など3事件で司法取引を使った。

 しかし、裁判所はその後の公判で制度への「不信感」をあらわにした。

 東京地裁は22年3月、日産…

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