2018年から入場が禁止されている名古屋城の天守=2024年11月13日、名古屋市中区、野口駿撮影

 名古屋城天守の木造復元をめぐる市民討論会で差別発言があった問題で、名古屋市は15日、市議会経済水道委員会で、問題の経緯などをまとめた「総括」を提示した。説明を受けた市議からは、河村たかし前市長の復元に向けた姿勢と、その責任を明確にするべきだとする意見が出た。

  • 障害者に「我慢せえ」差別発言に響いた拍手 揺れる名古屋城復元計画

 問題は2023年にあった市民討論会で発生。参加者が天守でのエレベーター設置を訴えたところ、他の参加者から差別発言を浴び、河村氏らが発言を制止しなかった。

 市の検証委員会は昨年9月、差別発言に適切な対応ができなかった背景や遠因として、河村氏の意向を気にしなければいけない「職員の苦悩や葛藤」があったと分析。河村氏の発言などを「パワハラ」と受け止めた職員もいた、と指摘した。このパワハラの有無について、同市は弁護士による第三者委員会に調査を依頼している。

 この日、市議からは「パワハラの検証結果が出るまで総括を待てば良かったのでは」との声もあったが、市観光文化交流局の担当者は「少しでも早く障害者団体のみなさまに謝罪する必要がある」と応じた。また、広沢一郎市長は委員会のなかで「できる限り(差別発言を受けた被害者のもとに)直接出向いて真摯(しんし)にご説明できれば」と述べた。

 また、河村氏から「復元整備計画を速やかに策定すること」などとする市の局長に宛てた指示書の存在にも言及があり、市議から「(市としてスケジュール優先になったのは)指示書が一番の原因だ」との指摘もあった。

 総括では、当事者との建設的な対話の重視を基本的な方針として盛り込み、史実に忠実な復元とバリアフリーの両立を目指す、としている。

共有
Exit mobile version