全国にある吹奏楽連盟の理事長は、吹奏楽部の指導者など教職経験者が務めていることが多いです。ところが奈良県吹奏楽連盟の福島秀行理事長は、若き日は音楽とアルバイトに明け暮れ、今も社会人バンドで指導をしながら、ラジオパーソナリティーやイベントの司会もこなすユニークな経歴の持ち主。そんな福島さんにこれまでの音楽との歩みや、まほろばの地・奈良の音楽性について語ってもらいます。

大舞台での指揮、あの感動が原点

 はじめまして。福島秀行と申します。もしかしたら私のことをご存じの方も多いかもしれません。県内のあちこちで一年中指揮をしたり、司会をしたりしていますし、ケーブルテレビで何度も放送されるので、たまに街中で知らない人からも声をかけられるんです。「あれ? 福島さん、何してんの」とか。

 県吹奏楽連盟の理事長を務め、現在58歳。ほぼ人生、吹奏楽一直線で生きてきた私ですが、日常の活動やこれまでの歩みを通して、奈良の音楽の力を紹介していけたらと考えています。

 まずは自己紹介から。私は生まれも育ちも王寺町。もともと音楽と本が大好きで、王寺中学校に入学してから三つ上の兄の影響でトランペットを始めました。中1のクラス対抗合唱コンクールでは、生まれて初めて指揮棒も振りました。

 高校は高田高校に進みましたが、当時の吹奏楽部には指揮ができる先生がおらず、自然と私が指揮や指導をする機会が多くなりました。高3の定期演奏会では現役生にもかかわらず大ホールで1曲振らせてもらえ、その時の感動がすべての原点になっているような気がします。

 大学には進みましたが指導者…

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