【動画】観覧最終日を迎えたアドベンチャーワールドのパンダ=伊藤進之介撮影
和歌山県白浜町にいるジャイアントパンダの中国への返還を前にした歓送セレモニーが27日午後、4頭が過ごしてきたアドベンチャーワールドで開かれた。最後の姿を一目見ようと、事前に申し込んだ約3千人が集った。
28日に返還されるのは雌の良浜(ラウヒン)(24歳)と、その娘の結浜(ユイヒン)(8歳)、彩浜(サイヒン)(6歳)、楓浜(フウヒン)(4歳)の4頭。日本国内で生まれたパンダも含めて所有権は中国側にあり、1994年に結んだ日中の共同プロジェクトの期間満了を前に中国へ渡る。
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アドベンチャーワールドでは20頭のジャイアントパンダが飼育されてきた。そのうち17頭は園内で生まれた。
良浜は園で誕生した初めてのパンダで、今年1月に帰国先の中国で死んだ永明との間に、10頭の子どもをもうけた。
この日は最終の公開日でもあり、早朝から多くの人が訪れて、検疫のため隔離されている4頭をガラス越しに見守った。
午後の歓送セレモニーでは、園内のモニターにこれまでの良浜の子育てや子どもたちの成長の風景を描いた映像が流れた後、隔離場所の4頭の様子も中継された。
今津孝二園長は「20頭にありがとうと言いたい。寂しい気持ちもあるが『元気で』と、送り出したい」と述べ、飼育スタッフからも「たくさん食べて」などとのメッセージが送られた。
毎年のように中国に行き、園から返還されたジャイアントパンダを見ているという大阪府交野市の会社員の男性(56)は「送り出すのはやはり寂しい」と話していた。