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【動画】廃校寸前だった和歌山南陵、新チームで再出発=白木琢歩撮影

 経営難で生徒募集停止の措置命令を受けていた和歌山南陵高校(和歌山県日高川町)が今春、3年ぶりに新入生を迎え入れた。いったんゼロになった野球部員も入部。「応援されるチームになろう」を旗印に、10日に開幕した全国高校野球選手権和歌山大会に連合チームで出場する。

 和歌山市内から車で南へ1時間弱。和歌山南陵は日高川町のスポーツ公園そばにある。

 午後3時過ぎ、両翼90メートル、センター120メートルの公園野球場に部員が集まってきた。7人全員が4月に入部したばかりだ。

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小林監督(中央)の話を聞く和歌山南陵の選手たち=和歌山県日高川町和佐、白木琢歩撮影

 唯一の2年生、佐藤尋斗主将は県外から移ってきた。昨夏の和歌山大会で和歌山南陵は、部員わずか10人で16強入り。その戦いぶりに感動し、転校を決めた。「SNSで話題になった『レゲエ調の校歌』が格好良かったのも理由です」

 チームに昨夏の奮闘を直接知る生徒はいない。運営する学校法人南陵学園(静岡県)が2022年、生徒募集停止の措置命令を静岡県から受け、23年度と24年度の入学者がゼロだったからだ。

 22年、資金繰りの悪化で教職員への給与遅配とストライキが起きた。税金を滞納し、ガス代の未納で学生寮の風呂が使えない。業者への支払いも滞り、寮の朝食が菓子パン1個とジュースだけになり、天井から漏水しても補修できなくなった。

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天井の配管から漏水した跡がそのまま残る学生寮=和歌山県日高川町和佐、白木琢歩撮影

 「もう続けるのは無理でしょう。私が学校の経営を引き継ぎます」。現在の理事長・校長を務める甲斐三樹彦さん(53)は、当時の理事長に何度も打診した。

 甲斐さんは南陵学園の営業部長を務めていたが、学校運営の問題点を指摘したところ17年に解雇された。その後、大分県で経営コンサルタント会社を営んでいた。

「このままでは終われない」

 だが、元同僚たちから相談を…

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