海運大手の商船三井は31日、ロシアの液化天然ガス(LNG)開発事業に貸し出す予定だった大型船4隻について、現地の関係企業などと契約内容の変更に向けて協議を始めたと発表した。同事業に対する欧米の制裁強化を受け、当初の計画通り貸し出すのは難しいと判断した。
同社はロシアの北極圏で進められる「アークティックLNG2」と呼ばれる事業にLNG船3隻、タンカー1隻を貸し出す契約を、2022年2月までに結んだ。その後に始まったロシアによるウクライナ侵攻を受け、同事業は、ロシア産LNGの輸出拡大を防ごうとする米政府などの経済制裁の対象に加えられていた。
商船三井は、同事業に関わらない形で4隻を貸し出すといった契約に変更できない場合、第三者に売却することを検討するとしている。ただ、いずれも砕氷機能を持つ特殊な船で、積極的に買い手がつくかは不透明なため、十分な売却価格を見込めない恐れもあるという。
この4隻はロシア事業のために建造を決めた船で、同社は計1056億円を投じている。投資額の回収が見込めなければ損失を計上する可能性があるとしている。(中村建太)