長野市と言えば、善光寺を思い浮かべる人は多い。その境内を抜けて東に向かうと、大きなガラス窓が並ぶ建物が目に入ってくる。長野県立美術館だ。

中谷芙二子氏の作品「《Dynamic Earth Series I》霧の彫刻 #47610」。建物の奥に見える山並みと相まって神秘的な風景を作り出している=2025年6月30日、長野市の長野県立美術館、竹花徹朗撮影

【撮影ワンポイント】街や自然と調和した「ランドスケープ・ミュージアム」

 信州の豊かな自然に溶け込む美術館の姿を撮ろうと、山の稜線(りょうせん)がくっきりと見える晴天の日を狙い、撮影に臨んだ。敷地内にある、中谷芙二子氏の作品「《Dynamic Earth Series I》霧の彫刻 #47610」。画面に人物を配置することで、雲海のように広がる霧を強調し、全体的に色調をやや青くすることで、涼しげな印象に仕上げた。(竹花徹朗)

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 市の中心部、1900(明治33)年に開設された城山(じょうやま)公園の一角にある。中に入ると、窓の向こうに遠くの深緑が見える。光も差し込んで、展示作品の一つのようだ。

 地上3階地下1階建ての建物は、約10メートルある地盤の高低差を生かし、入り口が公園や道路とつながっている。屋上広場「風テラス」からは、目線の高さに善光寺本堂(国宝)の檜皮(ひわだ)ぶき屋根と、信州の山並み。地元の人もなかなか見ることがないという光景が広がる。

白い霧が風に吹かれて…

 1966年に開館し、老朽化…

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