2011年の東日本大震災が契機となって創設された専門資格「臨床宗教師」。被災地や医療現場などで、宗派を超えて心のケアに取り組む僧侶や神父、牧師といった宗教者のことだ。青森県内では、昨年末、団体の県支部が出来た。この資格を知ってもらおうという催しが県内を巡回している。
主催は東北臨床宗教師会青森支部。催しでは、東日本大震災の被災者や犯罪被害者の家族らが登場するドキュメンタリー映画「グリーフケアの時代に~あなたはひとりじゃない~」を鑑賞した後に、映画の感想や自らのグリーフ(悲嘆)体験を共有する。4月から月1回ペースで続けられている。
グリーフケアとは、近親者の死など大切な存在を失ったことで深い悲しみの中にいる人が、立ち直っていけるように寄り添い、手助けをする取り組みのことだ。
日蓮宗法永寺(五所川原市)の住職で、県内初の臨床宗教師でもある青森支部事務局の小山田和正さんは、「かつて寺と地域は近い存在で、日常の中に寺があり、地域からも求められていた」という。しかし、いつしか、葬儀以外では疎遠になっていた。そんな中であった東日本大震災は、「多くの宗教者たちにとって、地域との関わりを問い直す契機となった」と話す。
小山田さんは、宗派の研修の…