Smiley face
写真・図版
日大三―県岐阜商 二回裏県岐阜商無死一、三塁、犠飛を放つ横山=大山貴世撮影
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版

 その名前がコールされるたびに、甲子園球場はひときわ大きな拍手に包まれた。

 準決勝の日大三(西東京)―県岐阜商。同点の九回裏、県岐阜商の攻撃は7番・右翼手の横山温大から始まった。左打席に入る前、360度を見渡すと万感の思いがこみ上げてきた。

 「あきらめずにやってきて本当によかった」。最後の夏、最高の景色が待っていた。

 横山は生まれつき、左手の人さし指から小指がない。普段の生活はもちろん、野球をするうえでも様々な困難があっただろう。

 でも、言い訳にしない。

 この夏、春夏通算4度の甲子園優勝を誇る強豪校で定位置をつかんだ。大舞台でも準々決勝までの4試合すべてで安打。準決勝も二回に犠飛を放った。

 ボールをとらえた後は右手1本で振り抜く。振り始めたバットを途中で止めるのは難しい。

 「だから振ると決めたら、打…

共有