新たに確認された藤原俊成筆「古今和歌集両序」の箱=奈良県天理市の天理図書館、塚本和人撮影

 平安・鎌倉期の代表的な歌人・藤原俊成(1114~1204)が書き写した「古今和歌集」の序文にあたる「仮名序(かなじょ)」と「真名序(まなじょ)」の全文が、天理大学付属天理図書館(奈良県天理市)に眠っていたことが、専門家の調査で明らかになった。

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 「万葉集」以後の約1100首を収めた古今集の登場は、和歌が公的な文芸と認められ、日本独自の文字である仮名が公認された意味ももつ。とくに「仮名序」は紀貫之が平仮名で著し、本格的に和歌の心得などを論じた国内初の歌論とされ、「やまと歌は、人の心を種として、万(よろず)の言(こと)の葉とぞなれりける」は有名だ。

 天理図書館所蔵の「古今和歌集両序」は計26丁(52ページ)からなり、真名序は5丁(10ページ)、仮名序は18丁(36ページ)。同図書館によれば、1954年12月の古書店の目録に掲載され、翌年に購入。60年発行の「稀書(きしょ)目録」には平安時代末期の「伝俊成筆」と記録されたが、昨年7月に古典籍に詳しい久保木秀夫・日本大学教授が調査し、俊成真筆の「昭和切(しょうわぎれ)」から分割された「両序」であることを確認した。

「昭和切」とは

 昭和切は巻1~10が越後高…

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