「88式地対艦ミサイル」の米国での発射訓練=陸上自衛隊提供

 陸上自衛隊は13日、陸から海上の艦艇を攻撃する「88式地対艦ミサイル」の発射訓練を6月下旬に静内対空射撃場(北海道新ひだか町)で実施すると発表した。百数十キロの長射程となるミサイルの実射訓練を国内で行うのは初めてとなる。

 陸自によると、北海道を拠点とする北部方面隊が、爆薬の入っていない演習弾を海上の標的の船に向けて発射する。訓練海域は同射撃場から南西方面に半径40キロ。6月24~29日の期間中、気象状況をみながら2日に分けて1発ずつを発射するといい、地元自治体や漁協には事前に通知するという。

 自衛隊はこれまで、88式の射撃訓練は広大な訓練地がある米国などで行ってきた。だが、中国の海洋進出を念頭に防衛力の強化を図るため、国内でも訓練を行うことで多くの部隊に機会を確保する狙いがある。6月の訓練では、海外での訓練時の2倍となる約300人が参加する。

 政府は今後、88式の発射訓練場を小笠原諸島・南鳥島(東京都)でも整備する方向で調整している。また、敵基地攻撃能力(反撃能力)を担う「スタンド・オフ・ミサイル」と位置付ける「12式地対艦ミサイル」の能力向上型についても、国内での訓練を検討している。

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