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インタビューに答える藤井輝夫・国立大学協会会長=2025年7月25日午後1時46分、東京都文京区、関口佳代子撮影

 全国85の国立大を束ねる国立大学協会の新会長に6月、東京大の藤井輝夫総長が就任した。国立大は近年、財務状況の悪化や研究力低下などが指摘されている。また、政府の留学生政策の変更による悪影響も心配されている。難局を乗り切るための抱負を聞いた。

 ――国大協会長に東大総長が就くのは12年ぶりです。

 12年も空いたとは驚きました。きっかけがなかっただけで、私としては国大協と距離を置いていたわけではなく、国立大全体にどのように貢献できるかを考えていました。

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 ――国立大の財務状況悪化や研究力低下の背景は。

 2004年の法人化以降、国の政策誘導もあり国立大に求められる役割が多様化しました。教育・研究に加えて地域貢献なども求められています。その期待に応えるには、教職員の人件費などの基盤的経費の充実が欠かせません。

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「配管のどこから水漏れが起きるかわからない」と老朽化の現状を説明する放射光科学研究所の島田賢也所長(左)=2025年2月6日、広島県東広島市、増谷文生撮影

 しかし、国からの運営費交付金は減り、全体の1割に当たる1千億円は外部資金の獲得実績などの共通指標の評価によって傾斜配分される仕組みも導入されました。この部分は毎年受け取る額が変わるため、中長期的な見通しを持った経営を困難にしています。

 さらに光熱費高騰や人件費上昇などで支出が増えています。来年度予算に向けて、政府に交付金の増額を求めて動きたいと思います。

 ――国立大の授業料についての考えは。

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